06/18 ピアノ曲《ゆたにたゆたに》初演


ピアニストの大井浩明さんは古楽から現代まで、ピアノを中心として様々な楽器を見事に操り、非常に刺激的なプログラムを次から次へと世に問うて我々を楽しませてくれる素晴らしい音楽家です。新作委嘱についても、時期を見据えて適切な方にお願いすると同時に、時に意表を突く若手や、現代音楽の文脈と少し違った方にも委嘱をすることで注目を集めています。その大井さんと何の気なしに最近の作曲家動向についてチャットをしていた時に、突然ピアノ曲の新曲を書かないか、とお話しを頂きました。
 今までもポチポチと作曲(のようなこと)をしてはいたのですが、このように機会を頂くことに最初はとても面食らって動揺していたのですが、大井さんのようなピアニストに自分の書いたものを弾いていただける機会という大変な魅力から、最終的にお引き受けすることとなりました。

連続ピアノリサイタル in 芦屋 2016 《先駆者たち Les prédécesseurs》

以下曲目解説。

●橋本晋哉:ピアノのための《ゆたにたゆたに》(2016)
  大井浩明さんの委嘱により作曲。タイトルの「ゆたにたゆたに」とは、ゆらゆらと漂い動くさまの意。万葉集に詠まれた、《我が情(こころ) ゆたにたゆたに 浮蓴(うきぬなは) 辺(へ)にも奥(おき)にも 寄りかつましじ》(作者未詳 万葉集 巻7-1352)に依っている(最初は「うきぬな」=「じゅんさい」が詠まれていることに興味を持ったのだが……)。曲はギヨーム・ド・マショー(1300-1377)のバラード《ご婦人よ、見つめないで下さい(Dame, ne regardes pas)》が基になっており、全体を通じてその構造は保ちつつも、多くの変形したモチーフによって修飾され、それらは原曲との間を行きつ戻りつする。(橋本晋哉)

後日改めて大井さんが録画してくださいました。