02/06 「プロデューサーの部屋」出演その1


衛星デジタルラジオ「ミュージックバード」の番組、平井洋さんの「プロデューサーの部屋」に2週にわたってお邪魔しました。この番組は18:00から22:00、なんと4時間にわたっての放送で、オススメのアルバムも一枚丸々たっぷり放送していただけるということで、第一週である2月6日は僕が大きな影響を受けたディスクを時系列的に採り上げていただきました。番組内でもたっぷりとお話しさせていただきましたが、こちらでもセットリストを掲載して、少し補足をしたいと思います。この回は、主にチューバという楽器の独奏楽器としての魅力について、チューバ奏者以外の方に興味を持っていただければと思って選びました。
番組内セットリストはこちら(ただし2週間後には次番組の内容に替わっています)。

湯浅譲二 室内楽作品集
・湯浅譲二/ぶらぶらチューバ
橋本晋哉(Tuba)

フォンテック/FOCD-9429
個人的に初めて録音したソロ曲。実際は歩く様子も曲の一部となっているので、ハッキリと音の出る靴も持って行って色々試行錯誤しました。

Symphony No 5
・ヴォ―ン・ウィリアムズ/チューバ協奏曲ヘ短調
ジョン・フレッチャー(Tuba)、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団
RCA/60586-2RG

言わずと知れたド定番の曲。最近は初演者のフィリップ・カテリネットが録音したディスクも容易に手に入りますが、学生時代から数え切れないほど聴いたフレッチャーの盤を。改めて聴いてみてもその美しさに惚れ惚れします。録音から40年近く経っていますが未だに演奏解釈の基準になっている名盤だと思います。

Bobissimo!
・J・E・ガリアルド/ソナタ第5番ニ短調
・バラ/序奏と舞曲
・ヒンデミット/バス・チューバとピアノのためのソナタ
・A・ワイルダー/子供の組曲「象のエフィー」
・W・クラフト/無伴奏チューバのための「遭遇Ⅱ」*
・R・スピルマン/2つの歌
・H・ラザロフ/チューバとテープのための「カデンスⅥ」
・A・ワイルダー/アンコール・ピース

ロジャー・ボボ(Tuba) ラルフ・グライアーソン(P*除く)
CRYSTAL RECORDS/CD125

フレッチャーと並ぶチューバ奏者のヒーロー、ロジャー・ボボのアルバム。レコード全盛の時代にコンセプチュアルなチューバソロのアルバムを何枚も発表というのは正に偉業だとおもいます。楽器の音域の上から下まで見事に鳴らしきった、向かうところ敵なしといった感じの勢いのある演奏に魅了されました。また、この時代のハーヴィー・フィリップスやロジャー・ボボといった名手たちによって、チューバのレパートリーが少しずつ整っていったことも重要。

Tuba Works by Oystein Baadsvik
・ヒンデミット/バス・チューバとピアノのためのソナタ
・T・マドセン/チューバ・ソナタ
・N・シヴェレーヴ/チューバ・ソナタ
・W・クラフト/無伴奏チューバのための「遭遇Ⅱ」
・M・ゴートハウグ/ソナタ・コンチェルタンテ

オイスタイン・ボーズヴィーク(Tuba)、 ニクラス・シヴェレーヴ(P)、スウェーデン金管五重奏団
SIMAX/PSC1101

先ほどのボボの録音が主にレコード時代だったとすれば、ボーズヴィークはCDが主流となった時代の新しい名手と言えるでしょう。今回図らずもヒンデミット、クラフトがボボのアルバムと比較して聴けますが(なんと豪華な企画!)、最初にこのディスクを聴いた当時に特に衝撃を受けたのがマドセンのソナタで、ロマンティックな解釈の多かったこの曲から、楽譜の指示に従ったクールで新たな魅力を引き出した名演奏だと思います。余談ですが同時期にはイエンス・ビヨルン・ラーセンからも大きな衝撃を受けましたが、こちらは適当なディスクがなかったので割愛。来日時の演奏会の音源があれば是非商品化して欲しいのですが……。
この後の時代からは国際コンクールも増え、またアルバム制作も比較的容易になり、そしてインターネット上に多くの動画、音声ファイルがアップされることによって多くの若い名手たちの演奏を聴くことの出来る機会も格段に増えました。

Symphonies 1 & 5
・プロコフィエフ/交響曲第5番変ロ長調 Op100(44’25″)
シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
LONDON/F00L-20377

さて、オーケストラの中のチューバ・パートとして代表的なものを挙げようとしても、たちまちディスク20枚程度にはなってしまうと思うのですが、個人的な趣味もあってこの曲を。恐らくほとんどのチューバ奏者が一度は演奏していたいと思っている曲の一つではないかと思います。演奏しているシャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団、当時はあまり気にしていなかったのですが、今自分の持っているディスクを顧みるとこのカップリングのCDが結構多いことに気づきました。(このディスクは違いますが)フランス物の色彩溢れる演奏を聴きたいときには必ずデュトワ/モントリオールを探していた時期があったんですね。個人的にはこの嗜好がのちのフランス留学に繋がったのでは、と改めて考えさせられました。

Michael Jarrell-Chaque Jour N'Est Qu'Une Treve-Rhi
・M・ジャレル/AssonanceⅣ
・同/Congruencesより

ジェラール・ビュッケ(Tuba) ほか
Ades/203 642
最後に、大切な師の一人であるジェラール・ビュッケさんの演奏している室内楽曲を。アンサンブル・アンテルコンタンポランに在籍していた彼に指導を受けることが出来て、現代ものに多く取り組むことになった今の自分があります。音大在籍時に楽譜を見て、とっても演奏できそうにないと諦めた野平一郎さんの「アラベスクV」を、なんと彼が演奏するというので、(内心本当に演奏できるのだろうかと疑いながら)秋吉台現代音楽フェスティバルに聴きに行って大衝撃を受けました。この人について学びたいと思ったことはひょんなことから何年後かに実現し、この曲を含め多くのレパートリーを学びました。そういった意味でも思い入れのある曲、演奏です。